凍てつく夜空

 
といふわけで。
ふたつめの Odessa が完成した。
正確には「完成してゐた」だらうか。先週土曜の夜にできあがつた。
すでにかぶつた後なのでちよつとくたびれた感じがする。
 
Navy Odessa
 
編み方はこちら
使用糸 Rowan Classic Yarns CashsoftDK 514 Navy 1玉
使用針 4号 6号
作り目 Twisted German Cast On
その他 TOHO 特大4mmビーズ No.21
 
今回、一模様増やしたので十目余分に作り目をしてみた。
しかしね、やはり下ぶくれ顔には似合はないのだつた。
だけど編んでて楽しいのでついもうひとつくらゐ編んでみやうかな、といふ気になつてしまふのが Odessa である。今度はビーズ抜きで、とかね。
 
以前 Rowan Magazine の表紙にヨークシャーツイード 4Plyでビーズを編込みながら編んだ帽子が載つてゐた。編みたかつたのだが、かなりの数のビーズを使ふ。店員さんに「重たくなりますよね」と相談したところ、「ビーズを入れる部分だけ裏メリヤス編みにしてもすてきですよ」と云はれたのだつた。確か日本語訳の編み図にはそんなやうなことが書いてあつた。
 
しかし、Odessa に使用するくらゐの数のビーズだつたらさして重たくならない。No Problem 、Kein Problem である。
♯おんなじだつて。
 
写真だと少し緑がかつて明るい色になつてゐるが、実際はいかにも「紺」といつた色の帽子で、銀色のビーズをあはせたら「寒い冬の夜空」みたやうな感じになつた。金色をあはせてもすてきだと思ふ。
 
さう、編込み模様や刺繍もさうだけれども、ビーズを編込むと色合はせがまた楽しいんだよね。
 
ボケてるけど、かぶつてみるとこんな感じ。
 
Odessa and its Whorl
 

Irresistible

 
だつて、イエガーのマッチメイカーDK が一玉300円だつたんですよ。
買ふでせう? え、買はない?
 
いきつけの手芸屋でイエガーマッチメイカーDKとマッチメイカーメリノ4Ply、あと同じくベビー用の半端な毛糸だまがごそつと籠に入つて安売りになつてゐたのである。
この糸でくつ下編みを覚えたものとしてはもう無視しては通れなかつたのである。
♯もちろん編んだのはたた&たた夫さんとこの「初めての靴下」
 
結局三玉や二玉ずつ十二玉も購入してしまつた。
ばかばかばか。
 
ちなみに家にあつた同じ糸の中にロットの一致するものがちらほら。
さうか、買ひ荒らしてゐたのはヲレか……。
 

通勤の友

 
ここのところずつと通勤する時はかぎ針編みのマフラを持ち歩いて編んでゐる。
以前もちらと書いたが、かぎ針編みはportableである。針が一本、毛糸一玉からはじめられて実にいい。
 
そんなわけで、今月これまでの成果はこんな感じ。
 
かぎ針編みのマフラ二本
 
どちらも同じもので、冬のあったかアイテム 定番ニット小もの に載つてゐる。
水色の方が先に編んだもの。
使用糸 ROWAN 4Ply Soft 369 Blue Bird
茶色は昨日夜編み上げたもの。
使用糸 ハマナカエクストラファイン(スリム) 315
以下は共通。
使用針 3/0号
本では12模様編むことになつてゐるが、15模様編んでみた。
 
ハマナカエクストラファインスリムは今回はじめて使ふ糸。ラベルには「かぎ針作品に最適なやや細めの仕立てです」と書いてあるが、どうだらう。
Rowan 4Ply Soft を編んだ後だとちよつとかぎ針では編みにくい感じがした。糸がやはらかいからである。4Ply Soft もかなりやはらかい方だと思ふが、かぎ針編みをするとそのやはらかさを生かせなかつた。少なくともやつがれの腕に今回の編み方では無理だつた。そのかはりといつてはなんだが、撚りのよくかかつた感じなどは大変かぎ針あみにむいてゐる気がした。
♯とはいふものの、4Ply Softはやはり棒針で編んでそのやはらかさを楽しんだ方がいいと思ふけど。
 
ところがハマナカエクストラファインスリムは糸が大変にやはらかい。慣れるのに時間がかかつてしまつた。
しかし最初からこの糸で編む場合は特に気にならない点だと思ふ。
 
またこの糸で編むとかぎ針編みとは思へないほど編み地がやはらかくなる。
かぎ針編みはかつちりしすぎちやつてさ〜」とお嘆きの諸兄に(……ゐるのか、そんな人が)おすすめである。
 
模様はこんな感じ。
 
かぎ針編みの模様
 
この模様は結構好きで、以前におくるみを編んだことがある。四角くてかつちりした感じがなんともいいのだつた。
 
今後も通勤の友はしばらくかぎ針編みになる予定。既にイエガーマッチメイカーメリノ4Ply で次なるマフラを編み始めてゐるのだつた。
 
……そんなにマフラーばつかり編んでどうする。
 

甘口の酒が多いとお嘆きの諸兄に

 
前回「Cool で辛口な編み物の本があつてもいい」といふやうなことを書いた後、「ぢやあどんな本がいいのだらう」と考へて、一番最初に頭に浮かんだのが、群ようこ 編物術―毛糸に恋した (シリーズ日常術)だつた。
 
この本、別段「Cool」でも「辛口」でもないし、編み図や編み方が載つてゐるわけでもないのだが、編み物を自然なものとしてあつかつてゐる感じがいい。「手作りつてステキ」とか「あみあみしやう」とか云はないけれども、でも「編み物つていいよね」といふ感じがするのだ。
 
しかしこの本は一般的に「編み物の本」として受け取られることはないだらう。
そこでさらに考へたのだが、えうは「切り口」ではないのか、といふ気がするのである。
 
たとへば、「ニットマルシェ」とまつたく同じ作品をとりあつかつた本を作るとしても、取り上げ方がちがへばまたちがつた印象の本になる。
 
……でもまあ既に作品が「をとめ」してたか。さうかなさうかも。
 
だんだんとりとめなくなつてきたが、ぼんやりと広瀬光治を思ひ出したりもした。
 
ニットの貴公子あらためニットの伝道師広瀬光治は、見たことのある人ならご存知のとほり、いつもレーシーといふかゴージャスといふかフェミニンな手編みの衣装を身につけ、物腰もやはらかな人物である。作品もまたそんな感じ。
だが、まれにイヴェントなどで講演するのを耳にしたりすると、ものすごく secco な感じがするのである。
さう、dolce ぢやなくて secco。
♯酒飲みだからだよ、といふ冗談はさておき。
編み物に対する情熱を感じる一方で、さめてゐる感じもする、といつてもいいかもしれない。
 
広瀬作品を secco な切り口で本にしてみたらどうだらう。これまでにないとても素敵なものになるんぢやないかといふ気がしてならない。
 
ここにいたつて、前回「辛口」と書いたのは、hot や spicy ではなくて、secco な感じだつたのだなあ、と、気がついてみたり。
 
まあそんなこと云はなくても、たとへば Debbie Bliss の作品はこども用でもシンプルでナチュラルな感じだつたりするが、とてもかはいいぢやあないか、といふ気もする。決して甘い感じで紹介されることはないが、でも赤ちやんが着るとちやんとかはいかつたり甘い感じがしたりする。
 
ああいふの、いいなあ、と思ふんだけど。