It's My First Time.

 
この年になつて最近「はじめてやつてみる」ことが多い。
直近のことだけ考へても、原毛を洗つてみるとか、ハンドカーダを使つてみるとか、洗ひ済み羊毛(「scoured」といふのだらうか)から紡いでみるとか、「まさかほんたうにやるとは」と思つてゐたことをやつてゐる。
紡ぎは全然やるつもりはなかつたし、羊毛を洗ふなんて考へてもみなかつた。つまりはカードかけだつて同じこと。
でも脳の老化と闘ふにはいいこと、かな。そんな気がする。
 
最近の「はじめて」はこれ。
 
Cashmere
 
2/15(木)に恵糸や10周年記念:編む・織る・紡ぐワークショップ交歓会で体験してきた。
生まれてはじめて紡いだカシミヤ。左が紡ぎ独楽(スピンドル)、右が紡ぎ車で紡いだものである。
さう、紡ぎ車を使ふのもはじめてだつた。
糸車とチャルカはそれぞれ使はせてもらつたことがあつて、紡ぎ車だけは敷居が高い気がしてゐたこともあつて、ずつと敬遠してきた(まさに「敬して遠ざけ」てきたわけだ)。
 
はじめての紡ぎ車はとにかく手と足が連動しなくてね。気がつくと逆回転してゐたりするのはスピンドルとそつくりである(?)。
 
んで、感想は、といふと、
 
「んー、車は買はないかも」
 
だ。
 
やはり自宅に置く場所がないといふのが大きい。
織り機のところでも話してゐたけれど、織をはじめるのに一番問題になるのは「織り機を置く場所」なのだとか。紡ぎ車つて置いてあるところをみると「なんだか自分の家にも置けさう」と思ふけれど、それは置いてある場所が広いところだからだ。むか〜しコンピュータを買ふ時にまづ店頭に行つて実物を見て、「んー、これなら置けさう」と思つて買つてみたらその巨大さに驚いたなんてなことがあつたが、まさにさういふ感じなのである。
 
それと、写真でみてもわかると思ふのだが、スピンドルで紡いだ糸とあまり(見た目が)かはらない。
一緒に行つた友人の糸は、スピンドルで紡いだ方が明らかに「ほわつ」とした感じに紡げてゐた。
……あ、それはやつがれのスピンドルをあやつる腕がつたないつてことか。
♯でも買ふとしたら「旅車」だよな。やつぱりな。
 
もとい。
 
写真だと糸の「男前」が確実に三割はあがるなあ。実物は太いところ細いところとりまぜて、といつたやうな糸になつてゐる。
 
でも。
楽しかつたから、いつか。
当日午前中はずつとスピンドルで紡いでゐたのだが、昼食中もなんだか顔の筋肉がゆるんできてしかたがなかつた。
 
これで、一昨年の東京スピニングパーティーで購入したカシミヤの原毛を紡ぐ気になつた。
いや、今までは不安でね。「自分にはカシミヤなんて紡げないんぢやないか」と思つてゐたもので。
問題は、ものすごーく細く紡げるので紡ぐのに時間がかかるといふことである。
今回は30gほどを購入して清野工房の清野詳子先生に紡ぎを教はつた。午前中にほぼ二時間、午後も一時間くらゐは紡いでゐたやうな気がするが、全然毛が減つてゐない。
 
ま、楽しいから、いつか。