ヴェストが好き

先日からヴェストを編み始めた。
使用糸はパピーのコットンコナ。使用針は四号である。
一応、_Knitter's Magazine_ Fall 2003 に出てゐる 1-40andHighway101 を元にしてゐるが、こんなに長いものではなくてもつと短い普通のヴェストにするつもり。

ところでこの編み方は「あじろ編み」「バスケット編み」「白樺編み」と呼び方がさまざまある。編み方は、ミミロクさんの WebPage から「AJIRO」をクリックすると、大変詳しく説明された Page に飛ぶことができる。実はこの編み方をする時は必ず参照するやうにしてゐて、今回もお世話になつてゐる。

さて、この編み方をする場合、既にできてゐる編み地の端から目を拾ふ必要がある。
上記参照雑誌にはこのあたりのことはなにも書いてゐないので、最初は書いてあるとほりに編んでみたのだが。
どうも目を拾ひづらいのである。
そこで一計を案じた。
ドミノ編みの技法を用ゐることにしたのである。

ドミノ編みもこの編み方に似て、すでに編んだ部分の端から目を拾つて編み進むものである。このため、端の編み方に特徴がある。
それは、

「最後の目を裏メリヤス編みにして、次の段で表目を編むやうにすべり目をする」

である。
さうすると、端の目がこんな感じになる。

ドミノ編み風端の目

こちらに向いてゐる目が鎖編みの目のやうになつてゐる。
……ね、捩れてるな。とほほ。

舶来ものの編み方なんぞを見てゐると、時々「selvage stitch」といふ表現に出くはすことがある。書いてあるとほりに編んでゐるのであまり気にしてゐなかつたが、どうやら後々作業しやすいやうに縁を編む場合、特にその部分の編み方を記してあるやうだ。
たとへば、裏メリヤス編みのセータなんぞを編む場合、脇を綴じるのが異様に大変、と思つた経験はないだらうか。かういふ時は端の一目だけメリヤス編みにしておくと、ずつと楽に脇を綴じることができる。
この「裏メリヤス編みが表にくるんだけど、端の一目だけメリヤス編みにする」なんてな時に「selvage stitch として端の一目は必ずメリヤス編み」といふ記述をするのだと思ふ。

といふわけで、ドミノ編み風に端の目を編むと、後で目を拾つた時に編み地の裏側はかうなる。

ドミノ編み風端の目から目を拾つた後

橙色の線で囲つた部分が鎖編みの目のやうになつてゐる。
まあやつがれの編み地からだとわかりにくいかもしれないが、実際やつてみると裏側から見てもうつくしい。

実際は裏側なんてどうでもいいんだがね。ま、自己満足の一環といふことでひとつ。

ところで。
ドミノ編みもさうなのだが、この編み方も手の遅いニッタには向かない。
編み始めてすぐにつくづくさう思つた。
決して速いニッタではないやつがれである。
このヴェストも仕上がる日はいつになることやら。

まつたく先が思ひやられるのである。