恵糸や詣で

行くまいと思つてゐたのだが。
先日、突然職場でグレることがあつて、急遽恵糸やさんにお邪魔することにした。
なぜ「行くまい」と思つてゐたかといふと、これ以上糸を増やしてはならないからである。
行つて正解だつた。
店主さんは実に熱い方だつた。
やはり人間、熱くなければ、との思ひを強くした。
実は先週、職場に豪州から助つ人がやつてきてゐた(あ、日本の方です。念のため)。
この人が実に熱かつた。
そして、なんだかもうどうにもならないやうなプロジェクトで昔からゐた人間のやうに働き、まはりまで巻き込んで、結局そのプロジェクトをどうにかしてしまつたのだつた。土曜日にはなにごともなかつたかのやうに豪州へ帰つて行つた。
この人と同じ熱さを店主さんに感じた。
お邪魔するや否や、もうほんたうにいろんなものを拝見した。
糸はもちろん、それで編んだもの織つたもの、織り機各種、染めた糸や染め用の鍋、usw, usw。さうさう、ドロップスピンドルの使ひ方まで見せていただいた。生まれて初めてのことだ。
一番びつくりしたのは、カシミアで織つたり編んだりしたものは、洗つた方がいい、といふことだ。
実際洗ふ前の編み地と洗つた後の編み地にさはらせてもらつたが、「え、これが同じものなの?」といふくらゐちがふ。
どうも普段あみものをしてゐると、毛100%のものなどはなるべく洗はない方がいいやうな気がするし、洗濯機なんて言語道断といふ気がするのだが。
いや〜、洗つた後の編み地の手触りのいいことといつたら!
もう手放せないかも、と思ふこと一度ならず。

そんなわけで、せつかくなので糸を購入。
26番双糸
実に自然な感じのする焦げ茶色である。最近かういふ色に弱いんだよね。あみものをこんなにするやうになる前だつたら絶対買はないやうな色である。これは 26 番双糸。
二本取りで三角ショールみたやうなのを作らうと思つてゐる。
といふのも、これまた拝見したお人形がしてゐた三角ショールがすてきだつたからなんだけど。
先日編んだ Beginner's Triangle みたやうなのがいいかなあ、とか、いろいろ悩んでゐる。
なかなか決まらないので、時々そつと糸に触れてみたりとかね。さうするともうこれがたまらない触り心地なのだつた。
うーん、これならショールみたやうなのよりももつと襟元にするやうなものの方がいいかなあ。
この糸を前に悩んでゐる時がまたいいんだよな。
そんなわけで、第五回東京スピニングパーティーには万難を排してでも行く。まづ行く。絶対行く。
……それには今月を乗り切らないとなあ。とほほ。