あみもの人口を増やすには

 
九月からこの方、つむぎ系や編み物系のイヴェントにあれこれ参加してゐる。
特に、先月・今月のKNIT OUTは、編み物初心者を狙つた、いはば「あみもの人口」を増やすためのイヴェントだつたと思つてゐる。
 
こちらのweblogに何度も書いてゐることではあるが、気のせゐか毎年毎年冬期の毛糸の棚が縮小されてゐるやうな気がする。夏期の棚が縮小されまくつてゐるので、実は一瞬ものすごく増えたやうな気がするのだが、冷静に考へてみると、「……去年より、減つてる?」といふ気分になる。
 
さう、夏期の減り方は明らかだ。
毎年、春夏糸が出回りはじめるころになると、行きつけの手芸店の毛糸の棚は前の年よりも少なくなつてゐる。
春夏に限つては新作毛糸も減つてゐるやうだ。
 
編み物をする人が減つてゐるからにちがひない。
 
さうすると、もうこれは毛糸業界だけの問題ではなくなつてくる。
編む人であるやつがれの問題でもある。
 
それではどうすればいいのか。
 
KNIT OUTは確かにすばらしいイヴェントである。
だが十月・十一月に行はれたやうな規模のものはさうさう開催できるものではないだらう。
 
思ふのだが、まつたくの初心者を狙はなくてもいいのではないか。
この前ローワンのイヴェントに出た時にさう思つた。
 
世の中には、「かつては編み物をしたけれども今はいろいろな理由があつてしてゐない」といふ人が案外たくさんゐるのではないか。
実はやつがれもさうだつた。
 
編み物をはじめたのは九つの時。かぎ針編みを教はつた。翌年、棒針編みを覚えた。
だが、こどもには如何せん毛糸を買ふ余裕がない。
自宅に毛糸があふれてゐるといつた家庭でもなかつた。
 
その後、高校の時夏休みの宿題でサマーセータを編んだことでまたちよつと編むやうになつた。また、学内にがんがん編む人がゐたので影響された。
しかし、学生にもやはり毛糸は高価に過ぎた。たまに安売りのものなどもあつたが、初心者に手持ちの毛糸でなにか作れと云つてもせいぜいマフラーを編むのが関の山である。
 
かうして、ずつと編んだり編まなかつたりしながら暮らしてきて、ある時、突然編み物に目覚めた。
たまたま、通勤途中に比較的大きな手芸店があつたこと、毛糸を買ふに足る収入があつたこと、そしてなによりも、えうは編むのが好きだつたわけだね。小学生ん時に「編み方を教へろ」と親に迫つたくらゐだからね。
 
だけど、長いこと編んでなかつた。
同じやうな人もたくさんゐるんぢやあるまいか。
 
そして、初心者よりもさうした人の方が編み物に興味をもちやすいのではないか。
 
もちろん、初心者の中から編み物好きを開拓することも大切である。
でもそれだけでなくてもいい。
眠れる編み人を起こすのも、有効な方法なのではないかと愚考するものである。