総括

 
……総括するほどのこともないのだが。
基本的にこものしか編んでゐない。くつ下・マフラー・帽子の類。
 
今年最初に仕上げたのは Regia で編んだくつ下。自分で履くつもりが人にあげてしまつた。
このころの職場はカジュアルウェアで出勤できたので、くつ下も自分で編んだものを履いていくつもりだつたのだが、結局果たすことなく今まで来てしまつた。職場も八月にかはつたしな。
といふわけで、ここのところ明けて最初の完成品はくつ下といふ年が続いてゐる。
くつ下編みはなぜか addictive だ。ほんたうにふしぎ。
 
その後、Magnificent Mittens に二度挑戦してゐる。どちらも失敗に終はつてゐる。これは秋になつて再開して、今編みかけで置いてある。今度は完成するだらう。といふかさせたい。
勝因は編込み模様が編めるやうになつたことだが、なぜ編めるやうになつたのかは謎のままである。別段練習したわけではない。編んでみたらできた。これまたふしぎである。
 
一月末になると、そろそろ北欧行きのことを考へはじめてゐたやうだ。パピーのバーリであじろ編みの帽子を完成させてゐる。これがちくちくしてたまらなかつたが、洗つたら落ち着いた。帽子だしな。もう少し後になると、バイアス帽子を二つも編んでゐる。一つはダイヤミュゼ、もう一つはパピーのミュルティコ。どちらも異様に色が派手でな。どうやらこのころから帽子を編むやうになつてゐたらしいことに今更ながらに気がつく。帽子を編むやうになつたのは始発で通ふやうになつてからだと思つてゐたよ。
 
ほんと、小物ばかりなのにはことばもないが、この次に仕上がつたのがローワンのウールコットンで編んだ隠し絵マフラー。幅が広くて長いのでぐるぐる巻けるわりに暑くなりすぎないのが長所。これの後にScarf Styleの表紙のマフラーを編んだ。ちくちくが気になる向きには指定の毛糸はお勧めできないが、多少なら大丈夫といふ向きには是非キッドクラシックで。これは北欧に持つていつた。巻いてよし袖を通してよしのすばらしいマフラである。
 
をを、あみねこを忘れてはいけない。
あみぐるみはもつぱら棒針編みだつたやつがれだが、あみねこかぎ針編み。いやー、やつぱりかぎ針編みつていいよね。時々猛烈にかぎ針編みをしたくなる。特にモチーフなんかいいな。あみねこももちろんいい。でも、つなげるのが苦手なやつがれにはチトむづかしいのだつた。
実は次なるあみねこを生み出さうとしてゐる。使用糸はザリーナ。やつぱりあみぐるみは触り心地のよい毛糸で編まないとね。
 
ヘルシンキストックホルムに行つて帰つてきてしばらくは、かぎ針編みドイリーばかり編んでゐた。それもエミーグランデで編むもの。ストックホルムでつれていつてもらつたカフェの各テーブルに何枚か太めのレース糸で編んだドイリーが置いてあつたのがきつかけ。ものによつてはコーヒーか紅茶の染みが抜けてゐないものもあつたが、「使つてるのよ」感が漂つてゐて大変よかつた。
当時は職場の環境がよかつたこともあつてとつかへひつかへドイリーを持つていつては使つてゐたが、今はそんなことをしたいと思へるやうに職場で働いてゐないなあ。
40番で編んだドイリーよりもエミーグランデくらゐの糸で編んだものの方が使ひやすいな、といふのも新たな発見。なんでだらう。太いから頑丈な気がするせゐかな。
 
この後はストックホルムで購入した Debbie Bliss のコットンアンゴラで Ruffles、ダイヤミュゼファインで Clapotis、Koigu KPPM でA Gathering Of Laceの一等最初に掲載されてゐるダイヤモンドショールと、マフラ・ショール系ばかり編んでゐる。
 
Vanallin Gloves を編んだのは七月。暑いころだつたが、編んでゐるものが躯に接触しないのでかなり軽快に編めた。これは今現在大変重宝してゐる。かけ目の部分から風がはいつてきてちよつと寒い時もあるが、おおむね良好。とにかく手編みとは思へない elegant な雰囲気がたまらん。かけ目から風邪がはいつてくるやうに感じるのはパピーのグランメリノを使つたからかも。もつと毛のもわつとした感じの糸ならさうでもないのかも、と試してみたい気持ちは大。
 
タティングレースでは栞とかモチーフばかり作つてゐたなあ。今、そのモチーフのうちハロウィーン仕様のものをいくつか作つてつなげるつもりでゐる。ああ、越前屋で購入したコロンの40番が実に結びやすいことに気がついたのも今年。少々太いけど、それがまた結び目のくつきりと浮き出る所以となつてうつくしい。いや、うつくしく結べれば、だけど。Caron の Wildflowers もはじめて使つてみた。糸が逆撚りでチト弱いといふことがわかつた。でも色のうつくしさがねえ……たまらない。ほんたうは刺繍に使へばもつといいのかも。
 
今年はイヴェントにもいくつも行つたつけ。
九月頭の東京スピニングパーティ。九月末から十月頭のニットフェスティバル。十月半ばのKNIT OUT TOKYO 2005。十一月半ばのROWANのKNIT OUT。
ニットフェスティバルではストレッチ編みを覚え、同じやうなマフラばかり二つも編んだ。実は今三つ目を編んでゐる途中なのははてなダイアリーにも書いたとほり。
 
あじろ編みとドミノ編みの変形で編みかけのものが一つずつ。あじろ編みの方はパピーのコットンコナで編んでゐるので、また少しあたたかくなつたら再開する予定。ドミノ編み変形の方は experiment の状態なのでどうなることやら。
 
experiment といへば、外出時用に編んでゐるダイヤドミナのヴェスト。まだまだ編まないとつなげないが、まあこれはなんとかなるだらう。
 
も一つ編みかけは Banff。色合ひがなんとも loud なので室内用になる可能性が高い。ラグラン袖のはぎを恐れてゐるがどうなることやら。
 
かうしてみると、どうも本邦の編み図といふものをあまり使つてゐないやうな気がする。かぎ針編みドイリーいづれも本邦のものだが、それ以外は……むう。
ニットフェスティバルの時に、「最近Webではみんな海外のパターンを編んで公開してゐるよね」と、ちよつと批判的な口調で話し合つてゐる人々がゐた。「なんでだらうね」と。
それ以来、ずつと考へてゐるのだけれど、結論は出てゐない。
強いて云へば、本邦の編み図といふかデザインつてものすごく年齢がかかはつてくる気がするから、かなあ。たとへば「毛糸だま」の作品つて若い人向けが多くないだらうか。これ、読者の人がそのまま編んで着られるんだらうか。といふのは「毛糸だま」の読者層つて雑誌に掲載されてゐるデザインが似合ふ層よりも高いやうな気がするから思ふのだが。
少なくともやつがれの見るかぎり、海外のパターンはそれほど年齢に縛られないやうな気がしてゐる。
 
また、Webにあるフリーパターンに関して云ふと、海外のものの場合は文字での表記が一般的なので、持ち運び便利だといふのもある。やつがれは Tungsten|Cを愛用してゐるのだが、これに編みかけのもののテキストを流し込んでいつでも閲覧できるやうにしてゐる。棒針編みでもかぎ針編みでもタティングレースでも有効だ。
 
そんなわけでまだ結論は出てゐないけれども、きつと来年も舶来のパターンを主に編んでゐるやうな気がする。
 
来年といへば、おそらく来年もこものばかり編んでゐるにちがひない。だつて圧倒的に編んでゐられる時間が限られてゐるもの。
さう決めておいた方が気が楽かもしれない。