緑の眼鏡をかけなければ

 
いや、「かけさせなければ」かな。自分がかけてても意味がない。
 
普通の人は魔法使ひにはなれない。そこにはなにがしかのトリックが必要だ。
オズの魔法使ひが他人に緑色の眼鏡をかけさせてゐたやうに。
 
といふわけで、しつこくMagic Cast-onである。
 
一等最初は実にうまくいつた。
 
Well-done Magic Cast-on
 
「Magic Cast-onはつま先の片方にとんがりができる」といふこちらの記事を読んで、ちよつと警戒してゐたのだが、特になんら問題なく最初のくつ下は編み上がつた。
 
安心してゐたら落とし穴があつた。
なんと、次のくつ下にはその「とんがり」があるぢやあないか。
 
Badly-done Magic Cast-on
 
なにがいけないんだ、と思つた時にひらめいたことがあつた。
さういへば作り目の最初で糸端を結んでゐる。あの結び目がここに出て来てゐるのでは。
 
A Gathering Of Laceの中でMeg Swansenは云つてゐる。「結び目はできるだけない方がいい。作り目の時も」と。
もしかしたらMeg Swansenは「レース作品の場合」のことを云つたのかもしれないが、これを読んで以降、作り目の時もできるだけ糸端を結ばないやうにしてゐる。えうは「slip knot」を作らずに目を作るわけだ。
 
といふわけで、五本針で試してみたのがこれ。
 
Another Well-done Magic Cast-on
 
どうだらうか。これだと「とんがり」はできない。最初にかける目のゆるみに気をつける必要があるけれど、おそらく仕上がりは糸端を結ばない方がきれいなやうに思ふ。
 
かくしてMagic Cast-onに死角はなくなつた……わけではなくて、実は新たな問題に気がついたりはしたのだけれど、それはまた後日の講釈で。