このいとほしさはなんだらう

 
Online Walking Socks
 
編み方: 特になし
使用糸: Online Supersocke 100 Walking Color 849
使用針: 2mm 80cm輪針
作り目: 6目 Magic Cast-on 72目まで増目
履き口: 表3目裏1目のゴム編み Russian Bind-off 72目
踵  : WRAPの引返し編み
完成日: 2006/08/30
 
片方ずつ編んだ方がはやく編めるのだうか。そんな気もする秋のゆふぐれ。
 
もとい。
しかし、かういふ「ただのメリヤス編み」「ゴム編み」みたやうなくつ下はやはり一足同時に編んだ方がなにかといい。段を数へなくてもいいといふのは大きい。
 
このくつ下を編んでゐる最中、なんだかふしぎな感覚が芽生えてゐた。
なんと云へばいいのだらう、この編み地、このくつ下が、妙に愛しいのである。
 
編んでゐるのはくつ下である。
毛糸は、編み始めた当初「うーん、本邦でRegiaが手に入るうちは次は買はないかな(でも別の種類をもう一玉一緒に買つてるけど)と思つてゐたいはゆる「普通の」くつ下毛糸だ。
しかも編み方はただのメリヤス編みとK3P1のゴム編みだけ。
 
しかるにこの感情はなんだらう。
「好きー」といふか、とにかく「いとほしい」といふ気持ち。
そして、これまたふしぎなことに「かはいい」といふ感情はない。
 
さうだなあ、ひよつとしたらかぎ針編みあみぐるみでも編んでゐる時だつたらかういふ気分になることもあるかもしれない。
♯棒針編みだとあみぐるみはくみ上げるまでなにを編んでゐるかわかりづらいからなあ。
そもそもあみぐるみつて「かはいい」とか「いとほしい」といふ感情を引き出しやすいものだ。
♯ラフちやんとか。ああ、なんてかはいいんだ、ラフレシアのラフちやん……。
 
でも今自分が編んでゐるのはくつ下なんだよなあ。
それも、レース編みとか編込み模様とか縄編みとか、さうした「飾り」の要素のなにもない、どちらかといへば「実用一辺倒」みたやうなくつ下。
 
なんでこんなに「いとほしい」と感じるのだらう。
 
編んでゐるあひだはずつとそんな感じで、なんだかあつといふ間に編み上がつてしまつた。中細毛糸(あるいはソックヤーン)で編んだくつ下では最速だつたかもしれない。
 
うーん、ふしぎだ。
これまでくつ下を編んでゐて「たのしー」とか「やめられーん」とか思つたことはあるが(といふか、いつもわりとさうだが)、こんなのははじめてだつた。
 
今、仕上がつたくつ下を目の前にして、「ひよつとしたら色のおかげかな」と思はないでもない。
地の色はやはらかい黄色。非常にうすい色ではあるけれども、なんともあたたかい色である。
……でもなんかちがふな、と、やはり冷静に思つたりする。
 
またこんな気持ちになることもあるだらうか。
あるといいなあ。