その他・代官山

 
聞きしに勝る若人の多さ。
でも奇抜な格好をしてゐる人はすくない。
 
以前から「代官山にあるから」といふ理由だけであきらめてゐた店に行つてみる。
 
一軒目は「かまわぬ」。
目移りするものの、季節ものと季節を選ばぬものそれぞれ一本ずつ手ぬぐひを購入。
その他、お箸も買つてしまつた。
 
もう一軒はJunnie Moon
限定プチ・ブライスと目が合つてしまつて連れ帰る。
ロミオとジュリエット」の後者をイメージしたものらしいが……え、うそでせうつて感じだ。
だつてなんとも儚げでいいんだもの。
ロミオとジュリエット」のジュリエットのイメージつて殺しても死なない感じといふか……生命力にあふれかへつたやうなちよつと過剰な感じ。血の気が多くて白い腕にかぷりとかみついたら真つ赤な血がどつと噴き出すやうな、キスマークなんかだつてばつちり残つちやふやうな感じだ。
今回連れ帰つたのはそれとは正反対で日向に出るだけでとけて消へてしまひさうな、好きな人がゐてもさうと云ひ出せないやうな、「あのかたにはほかのかたの方がお似合ひだもの」とすぐにあきらめてしまひさうな、血の気の薄くて透きとほるやうに色の白い、そんなブライスである。
 
つまり「ロミオとジュリエット」は好きではない、と。さういふことらしい。
沙翁は「あらし」と「十二夜」と「リチャード三世」が好きなのでな。
 
さういへば今月末から「トリスタンとイゾルデ」の映画が公開されるらしい。「トリスタンとイゾルデ」は好きなんだよね。NHKホールに楽劇も聞きに(見に?)行つたし(トリスタンは原宿でオヤジ狩りにあふ前のルネ・コローだつた)、物語もいろいろ読んだ。ローズマリー・サトクリフの「トリスタンとイズー」は「惚れ薬のせゐだなんてウソよ」といふ前提で書かれてゐるのが不満。あのふたりは「惚れ薬なしにはどうにもならない焦れつたさ」がいいんだつてば。なんでわからないかなあ。
さう、長いことずつとランスロットが「騎士の中の騎士」なのが納得いかなくてね。だつて不義密通男でせう? しかも相手は王様の奥さんでせう? なんでそれで「騎士の中の騎士」なんだよ、と。「アーサー王物語」系を読む直前に「忠臣蔵」を読んでゐたのが敗因だつたらしい小学生のころのやつがれ。
あはれである。
でもトリスタンとイゾルデは薬のせゐ、といふのがなんともやるせなくてよい。
 
あみものと関係なくてすまぬ。