いつたいなにをやつてゐるんだか

 
長いことqiviutを編んでみたいと思つてゐた。
qiviutはmusk oxともいふ。すなはち麝香牛。
なんだかとつても匂ひさうな名前だが、とりあへず市販の糸はそんなことはない。
 
つまり、編んでみたわけである。
 
Feather and Fan Moebius Shawl
 

毛糸: Jacques Cartier Qiviuk 色 Plum
針: Size 6 (4.00mm) 80cm 輪針
着手: 2008/1/25
 
編み上がつてはゐるが完成はしてゐない。
一説によると麝香牛の毛といふのは羊毛の八倍あたたかいのださうである。
どうやつて計るのか今ひとつ謎だが(予想では同じdensityの毛を用意して計測するんぢやあるまいかと思ふのだがどうか)、とにかくあたたかいといふことだらう。
そんなにあたたかいものが本邦で必要なのだらうか。
長いことさう思つてゐたが、この冬は寒い。この前の冬があたたかすぎたのだらう。
せつかく寒いんだから寒いうちに編んでしまへ。
 
最初はふつうに(?)レース模様のマフラみたやうなものを編んでゐた。自分にしてはちやんと編めてたんだが、ある時点から全然進まなくなつてゐた。
これはもう先にはゆくまい。
さう思つて、えいやとばかりにほどいた。
 
そして結局メビウスである。
 
_A Treasury of Magical Knitting (asin:0970886977)_ に Mercurial Moebius Shawl といふのがある。編み始めの前半は減らし目後半は増やし目しながら数段編む。あとは普通に編んでゆくと片側はせまく片側は広くなる(あたりまえだが)。この本に掲載されてゐるメビウス状の編み方だと、あまり短いものは編めない。だがこの「最初で前半減らし目後半増やし目」手法を取ると、片側は狭まり片側は広がるので、ちよつとケープ状になるんだね。
 
このショールも編み始めにこの手法を使つてゐる。
あとは裏表を作りたくなかつたので、ガーター編みのレース模様(Feather and Fan Stitches)にした。最後はピコ(ット)入りの伏せ止め。永遠に続くかと思つたよ、この伏せ止め。
 
二玉と少し使つたが、大きさには満足してゐる。二重にしてもフードのやうにかぶつても肩まで覆ふことができるしね。うすいけどあたたかい。レース模様にも向いてゐると思ふ。編んでる最中に膝にのせてたりすると、それだけでもう「あつたか〜い」といふ感じだつた。実際、「なんかあつたかいけどなんだらう」といふ気分だつた。かるいからのせてる気がしなかつたんだよね。
結構けもけもした感じだがちくちくはしない。カシミヤよりも強い感じ。カシミヤはメビウスの最初の段を編む時に何度か切つたけど、麝香牛は一度も切れなかつた。編んでる最中も。
ガーター編みにしたせゐもあるかとは思ふけど、編みあがつたものはものすごくふかふかしてゐる。
 
そんなわけで、目的ははたしたのでもうこんな贅沢はしないつもりでゐたが。
やはり、麝香牛の毛を紡いでみたいよな。な?

しかし、ほんたうにいつたいなにをやつてゐるんだか。