オヤ

 
この秋の「毛糸だま」にはあまり「編み気」をそそられなかつたが。
♯とはいへ後で見たら「これを編みたいつつ」と思ふこともあるので要注意。
 
しかし「オヤ」には心惹かれてしまつた。
「オヤ」とはえうするにレースのことらしい。
 
こちらを御覧になつてくだすつてゐる方々には今更こんなことを書く必要はないとは思ふが。
「毛糸だま」には「世界手芸紀行」といふ連載があつて、今回はトルコの手芸事情についてとりあげてゐる。
イスラム教徒の女性が髪の毛を覆ふのに使ふスカーフ(「ヤズマ」といふと記事にはある)の縁にレースのエジングを縫ひつけるのらしい。オヤ(レース、な)にはかぎ針編み・ニードルレース・タティングレース・ヘアピンレースにあたるものがあるのださうで、しかし記事にはかぎ針編みのレース(「トゥーオヤ」といふらしい)とニードルレース(「イーネオヤ」といふらしい)、それとビーズをあしらつた「ボンジュクオヤ」の写真しか出てこない。タティングレースにあたるメキッキオヤは筆者である七海光がトルコ人の女性にやり方を教はつてゐるところと糸の巻かれたシャトルしか出てこないし、ヘアピンレースにあたるフィルケテオヤにいたつてはその名前と、メキッキオヤ同様膨大な時間と高度な技術が必要なので若い人には人気がない旨しか述べられてゐない。うーん、せめて作品が見られればなあ。
 
雑誌に掲載されてゐるオヤはいづれもカラフルで、それがまたいい感じ。
 
記事には、オヤ作成中の女性たちはおしやべりしたりなんだりで編み目の数とか数へられるのか知らんと、筆者が疑問に思ふ場面が出てくる。すると、トルコ人は「そんなの数へてない」と答へたとある。逆に不思議さうに「日本では数へるの?」と訊いてきた、といふのだ。
さういへば_Simply Socks (ISBN:1887374590)_でAnna Zilboorgが、「トルコではくつ下の端糸の始末はしない」と書いてゐたつけ。オヤはどうかといふと、ナイロン100℃……ぢやなくてナイロン100%の糸で作るので、最後は糸端を1mmほど残し、ライターで溶かしてまるめてかためるのだとか。
いいな、それ。
 
それにしてもレースのエジングはいい。
いいが自分ではほとんど作つたことがない。
縫ひ針を厭ふやつがれだもの、あとで布地に縫ひつけたりするやうな作業はしたくないのだつた。
まあでもかぎ針編みタティングレースならものによつてはエジングを作り乍ら布地に編みつけて(あるいは結びつけて)いくことも可能かな。
それと、以前はタオルハンカチを愛用してゐたからそれにつけてもいいかなと思つてゐたけれど、現在やつがれの愛用するのは手ぬぐひ。ちよつとエジングをつけるのはどーよといつたところである。
♯しかし今タオルハンカチを愛用してなくてよかつた。
♯青いものが多いからよけいにさう思ふ。
♯ん、しかし考へやうによつては手持ちのハンカチを持ち歩くだけで流行に乗れるつてことか?
 
でもエジングつて編み心や結び心を誘ふものが多いのも事実。
 
むー、困るね、やりたいことが増えてしまつたことよ。
 
追記:
メキッキオヤ・フィルケテオヤなどはその他のオヤと一緒に七海光のWebページに紹介されてゐる。
ご興味のある向きには是非。
……つてさういふ方はもうすでに御覧でせうなあ。