カレリア幻想

 
紡いだカシミヤは載せたものの。
編んだカシミヤは載せてゐない。
 
もう先月のことになつてしまつたが、恵糸や10周年記念:編む・織る・紡ぐワークショップ交歓会で、林ことみ先生のあみもの講座にも参加した。とつくにネックウォーマも完成してゐるが、休みのあひだは常に使用中なので写真を撮る暇がない(……取りたくないんだもーん)。
 
この時、北欧ニットシンポジウムの話も出て来た。
今年はカレリアで開催するのださうな。
 
カレリア。
 
おそらくフィンランド側のカレリアだらうなと思ひつつ、頭の中にシベリウスが鳴り響くのだつた。
 
遠くから角笛の音が聞こえてきて、目の前を騎馬の一隊が通り過ぎてゆき、やがてまた彼方から角笛が聞こえてくるやうな一楽章。
一面の銀世界、あまりの寒さに雪さへ降らずなにもかも凍てついた地でワルツを踊る一対の人影。いつしか踊る人影は一対また一対と増え、何十人もの人々が荘厳に踊る。けれども気がつけばあたりに人影はなく、最初に踊つてゐた一対の足跡だけが雪の上に残る二楽章。
終始ご機嫌な三楽章。遅い春、池や湖ではぽこぽこと新鮮な水の湧き出でて、空には小鳥がさへづつて、一面の緑が目にまぶしい。
 
といふのがやつがれのカレリア組曲の印象なのだが。
♯あくまでも聞いた印象なのでほんたうのところは知らないよん。
♯でもかういふ聞き方でいいつて若い頃のレニーは云つてたよん。
 
二楽章はコーラングレのソロもたまらないし、さうさう、野田秀樹が「パンドラの鐘」で使つてたなあ。主題(?)をエンドレスで。これがよくて帰りにCD店に走つて一枚だけあつてカレリア組曲入りのCDを買つたつけ。トゥオネラの白鳥とか悲しきワルツとか有名どころ満載のCDだつた。
野田秀樹は去年「贋作・罪と罰」でローエングリンの第一幕への前奏曲を使つてゐて、
♯これもまた涙が出るほどよかつた。
 
さうかー。
カレリアかー。
 
なんとなく、Karelian Suite Socks なんて編んでみたくなつちやつたなー。
いや、そんなものは世の中にはないが。
頭の中の片隅にぼんやりとある、そんなくつ下。
 
……どんなんぢや。