現在愛用中

 
WIPなどと云ひながら、もうできあがつてゐる。現在愛用中。しばらく使へさうな予感。
 
Guess What
 
これは、二年前の夏恵糸やさんで購入したカシミヤで編んでゐる。
買つてから長いことたつてしまつたけれど、実は編みたいものはきまつてゐた。
cashmere moebius cowlである(PDF注意。写真はこちらで)。
一時メビウスマフラばかり編んでゐた時期があつたが、それはこれが編みたいがためであつた。さう、すなはちsamplersを編んでゐたわけだ。これまで編んだものも使つてゐるけどね。
 
メビウスマフラが好きな理由はいくつかある。

  1. 結び目がない
  2. 落ちない
  3. 形状が楽しい
  4. 整形ができない

 
1. 結び目がない
これは重要である。マフラの結んだ端は服の外に出さないやうにしてゐる。すると結び目がごろつくことが多い。メビウスの輪でなくてもかまはないが、輪つかになつたマフラには結び目がないのでこのごろつきがないのだ。
マフラの端を外に出さないのはもちろん危機管理の一環である。本邦には結び目を服の外にたらして平気でゐる人が多い。背後にたらしてゐるなんて論外だ。ひよつとしたらどこかをかしい人なんぢやないかと思ふが、マフラの端を背後にたらして平気な人にはやつがれの方がをかしく見えるだらう。それにそもそももしさういふ人がみんなをかしいのだとしたら、世の中にはをかしい人が多過ぎる。
以前も書いたが、まああれだ、マフラの端を背中にたらしてゐる人はみな武芸の達人なのかもしれない。背後から襲はれても対処できるのだらう。他人が心配することぢやあない。
よかつたね、日本が平和な国で。
 
2. 落ちない
暑くなつてマフラの結び目を解く。そのまま上着を脱いだりするとマフラも一緒に落ちてしまつたりする。そんな経験はないだらうか。
♯え、ない?
♯すまん、粗忽者で。
でもまあ落ちる心配をしなくていい。これは案外いいものである。
 
3. 形状が楽しい
メビウスの輪は単純にその形がおもしろい。メビウスの輪の編み方を探してゐたころ、「マフラを人に渡してたたんでもらふと、相手がいつもびつくりするのが楽しい」なんぞと書いてゐる人がゐた。
……それつて楽しい?
まあともかく、裏がないといふ形状はおもしろいと思ふ。
 
4. 整形ができない
メビウスの輪の形状から、ピンを打つて整形するなんてなことはほぼ不可能と思つていい。
これが長所なのか、と疑問に思ふむきもあらう。確かに短所でもある。だが、逆に「できないんだからしなくてもいいぢやん」といふ楽な部分がある。
もちろん、できないことはない。すこしずつずらしながら整形すればいい。実際、スチームアイロンをかける時はさうするわけだしね。
 
といふわけで、長所があればもちろん短所もある。長所はどちらかといへばできあがつたものの属性であるが、短所は編んでゐる時に遭遇する点が多い。

  1. 整形ができない
  2. 一段目の前半がひどく編みづらい
  3. 伏せ目をするまで完成形が見えづらい
  4. 裏表がないので端糸の扱ひに気を遣ふ

 
1. 整形ができない
整形ができないといふのは、短所にもなりうる。レース模様を編んだ場合なんかはやつぱり整形したいよね。
 
2. 一段目の前半がひどく編みづらい
これは作り目をかけ目にした場合のこと。普通に指で作る作り目をした場合は一段目の後半の方が編みづらい。いづれにせよ、一段目の半分は編みづらい。
今回はかけ目で作り目をした。どれくらゐ編みづらかつたかといふと、二回糸が切れたほどである。本来作り目の数は80目だつたのだが、匠では針と針をつなぐ樹脂の部分がかたすぎて80目ではうまくいかなかつた。結局やうすを見乍ら作り目して、倍の160目作つた。おかげで巨大になつてしまつたが、まあそこはそれだ。
 
3. 伏せ目をするまで完成形が見えづらい
写真を御覧になるとわかると思ふが、なんだかわかんないでせう? 編んでて「……ヲレは一体なにをして入るのだ」といふ気になることがたまにある。編物をしてゐて完成形が見えづらいのつて案外つらいよね。
そのかはり伏せ目をはじめてだんだん形が見えて来た時の喜びといふのはもちろんある。かなりの数の目を伏せなければならないので、それくらゐの楽しみがないとさらにつらいのかもしれない。
 
4. 裏表がないので端糸の扱ひに気を遣ふ
これが一番困るかなあ。メビウスの輪は裏表がない。従つて端糸も裏でからげてちよん、といふわけにはいかない。きちんと見えないやうにわからないやうにあちこちくぐらせないといけない。
「そんなの、メビウスの輪ぢやなくたつてあたりまへぢやん」ですか?
さうかなさうかも。
 
そんな短所もあるけれど、でもメビウスマフラはいい。
上記のとほり、やつがれの Cashmere Moebius Cowl はかなり長いものになつてしまつた。でも二重巻にしてもいいし、年寄りくさいことは承知の上で首に巻いた上頭にかぶつてもいい。実はこの頭にかぶるといふのがやつてみたくてなあ。前から真知子巻きにあこがれてゐるのだ。真知子さんの巻いてゐるのはヂヤンテイ織りなので、ヂヤンテイ織りで作るかなあと思つてゐるのだが、これでも擬似真知子巻きができるぢやん。
カシミヤなのでうすくてかるくてあたたかい。これからしばらく使へさう。
もちろん肌触りも最高なのだつた。