No Evidence

 
実は先週……いや、もう先々週のことだつたらうか。一足くつ下を仕上げてゐる。
これがね、すごいの。なにがすごいつて、編み地がものすごくやはらかいの。
できあがつたくつ下をぎゆつと握つりしめて、ひとり「たまらん」とつぶやくやつがれ。
ちよつと……いや、相当不気味である。
でもとめられなかつた。

ぎゆつ。たまらん。
ぎゆぎゆつ。た、たまらん。

そんな感じ。
 
使用した毛糸はSchaeferのAnne。細くてどうしやうかと思つたこの糸は毛とモヘアと化繊の混紡くつ下毛糸。高価なのだが、「いいぢやん、働いたんだから」といふのでぽちつとなしてしまつたもの。
なにを編んだものかさんざん悩んで、_Knitting Vintage Socks (asin:1931499659)_に掲載されてゐた同じ毛糸を使つた作品にちよこちよこ変更を加へながら編んだ。
 
写真を撮つて加工してちよいと更新すればいいのだが、それが手間に感じられてできない。
実は今年の一月頃もそんな気分だつた。
タティングのモチーフの写真はまめに撮つてゐるのはできあがつたものをそのまま机の上においてちよいと撮ればいいからである。
くつ下は置く場所とか考へちやふんだよね。
 
といふのは云ひ訳で、やはりなぜかやる気にならない。
 
紡ぎもちよこちよこやつてゐて、ここのところ週末はSpindolynで恵糸やさんで購入したカシミヤを紡いでゐる。カシミヤ、いいよなあ。さはつてゐるだけでしあはせ。こんな細い糸、編めるのか知らんとか、たまに我に返ることもあるけれど、基本的にはなーんにも考へずに、Spindolynをくるくるまはしながら、「しあはせだなあ。ぼかあ、きみを紡いでゐる時が一番しあはせなんだ〜」とか加山雄三モードに入つてゐる。
 
でも写真がないんぢやね。evidenceがほしいよね、evidenceが。
♯つて他人事のやうに……。