Long Time No See

 
更新しないあひだも、いろいろ編んだり紡いだり結んだりしてゐた。
ひとまづ結んでゐたもので、最近はじめたものを。
 
Growing  -- slowly, but steadily --
 
Puppy New 2Ply を結んでゐる。モチーフは藤戸禎子先生の本に出てゐたもの。
毛糸は以前から結んでみたくて、何度か挑戦してゐる。
毛糸だと、結び目がふつくらしてなんともかはいいのだ。
しかし毛糸ならではの問題といふのもある。
 
たとへば。

  1. 撚りが逆である
  2. シャトルにそれほど巻けない
  3. 絡まりやすい

 
といつたところがすぐに思ひつく点だらうか。
 
撚りが逆、は、まあ大抵の毛糸はさうなんだよね。御存知のとほり、もつぱらかぎ針編みで使用するレース糸といふのはZ撚りである。タティングレースにもZ撚りを使ふ。対して大抵の毛糸は棒針編み用にS撚りになつてゐる。もちろん例外もあるのだが、少なくともPuppyの極細毛糸であるNew 2PlyはS撚りだ。
S撚りの糸をタティングレースにもちゐると、撚りが甘くなつてきてしまひがちだ。ピコの部分に顕著にあらはれるのだが、なんだかうつくしくない。
 
またいくら極細といつても普通タティングレースにもちゐるやうなレース糸よりも太いのは確かである。すなはちシャトルに巻き付けられる量もたかが知れてゐる。つまりしよつ中シャトルに糸を巻く必要がある。
クロバーの角付きシャトルだと一杯巻いてだいたいモチーフ二枚分といつたところかな。このモチーフでやつがれの手加減だとほぼ二枚分なので、丁度よいとはいへる。
 
さらに毛なので、どうといふこともないところで絡まりやすい。短い毛がふはふは出てゐるからね、それが絡まり合ふのである。とくにまちがへてほどかうとした時に苛つくことが多い。
 
しかし、絡まるからいいこともある。
たとへば糸端の始末だ。刺繍針を使つて結び目のあひだに縫ひこんでゐるが、毛糸だからそんなにたくさん縫ひこまなくても自然と絡まつてほどけにくくなる。これはいいなあ。切り端も同じやうな理屈で目立たない。とてもいい。
 
…………でもいい点つてそれくらゐしか思ひつかないかも。伸縮性があるからうまく結べたと思つても大きさがまちまちだつたりするしね。
それでも結んでゐるんだからなにかいいところがあるんだらう。まあ気がついたらその時にまた書きたい。
 
一日モチーフ二枚ずつくらゐできればいいかなあと思ひながら結んでゐる。
それだと百枚で五十日。そんなものかなあといつた感じだ。実際は三枚一列だから九十九枚になるんだけどね。
ほんたうは、気力と時間と毛糸があれば、もつと大きくショールのやうなものを作りたいんだなあ。無理だらうなあ。
写真は五十一枚目をつないでゐる最中。これでだいたい一玉25gくらゐである。結んでゐるからもつと重たいものを予想して手にとるとこれが案に相違の軽さである。ま、そらーこれだけすかすかしてたら軽いよな。
 
色はほんたうはまちつと黄色がかつてゐる。ちよつと赤ちやんものの毛糸にありさうな色だ。色の選択に失敗したかなー、と思ひつつ、結んでゐる最中は楽しいのでいいことにしたい。
 
一応顔見世にしていくつもりで結んでゐる。今年は中村錦之助襲名披露公演で、演目や役者はいいんだが、配役に難があると思つてゐる。歌舞伎座での顔見世でもさうだけど、松嶋屋で江戸の生世話物を見たいとは思はないんだよねー、もう。もつと丸本の、さうだなあ、生締の役とかさー、さういふのが見たい。七月の銀平(は生締ぢやないけどな)とかよかつたもの。上方で「義経千本桜」の三役を是非、とも思ふが、狐忠信はニンにないか。むむ。
 
最後は芝居の話になつちやつたけど、まあそんなわけで、あひかはらず編んだり結んだり紡いだりしてゐるのだつた。実はここ数日は編みまくつてゐたりするわけだが、それはまた別の話。