ガーター編み Revisited

 
ガーター編みなんて、退屈ぢや〜ん。
 
なにさまのつもり、と自分でも思ふが、実際さうなんだから仕方がない。
 
だが、ここのところ「ひたすら輪にしてメリヤス編み」とか「ひたすらガーター編み」なものばかり編んでゐるやうな気がする。
……あ、カシミヤの3目ゴム編み帽子はさうでもなかつたか。
 
もとい。
 
しかし、なんだかもう編み図や編み方を見ながら編むのが苦痛な時といふのがある。
さういふ時、「ああ、ヲレは別段あみものが好きなわけぢやないんだなあ」とつくづく思ふ。
とにかく、手がなにもしてゐない状態といふのが耐へられないのである。PCの画面を見つめてゐるだけ、とか、TVを見てるだけ、音楽を聴いてゐるだけ、といふ状態はどうも手持ち無沙汰に感じられる。
調子のよい時はそれでも編み図や編み方を見ながら模様編みをしつつTVを見たりすることもあるけれど、いつもいつもさういふわけにはいかない。
さういふ時は、結局ひたすらメリヤス編みとかひたすらガーター編みのものを編むことになる。
たとへば先日仕上げたカシミヤのショールはそんな感じ。「北欧の生活雑貨手作りノート(asin:4413009088)」にも似たものが掲載されてゐる。やつがれは以前からThe Comfort Shawlの編み方を見ながら編んでゐた。
 
それに。
世の中には「うつくしいガーター編み」といふものも存在する。
なんの変哲もないはずのガーター編みが、手練の手にかかるともう実に、「これが同じガーター編み?」と思はれるやうな編地ができる。
 
Debbie Bliss のかのこ編みとかガーター編み。
ただのかのこ編みだつたりガーター編みなのに、見るたびに「完璧」といふことばが脳裡をよぎる。
 
もちろん、あんな域に達することができるとは夢にも思はないが。
でも、目標があるのはよいことである。
さう思ひたい。
 
そんなわけで、Multidirectional Diagonal Scarfを編み始めた。
毛糸はダイヤモンド毛糸のダイヤタスマニアンメリノアトリエ。
ええ、あの一見悪趣味な毛糸を発売直後に買つてゐたんである。
 
Multidirectinal Diagonal Scarf in Progress
 
まあ色の趣味は人によるとは思ふが、「この色合ひで買ふ人がゐるのか?」とはじめて見た時は首をひねつた毛糸だ。
 
これが、編んでみると実にいい。
最初は4号針でつめて編んでみたのだが、それでも編地がしなやかなので、これは大きめの針で編んだ方がよさが出るだらうと考えて7号に持ちかへた。Bingo! である。
 
編地の手触りはさらさらとさはやかな感じで、しかもきもちいい。まつたくちくちくしない。これでDickyとか編みたいかも。
色さへ好みのものがあれば、首周り用のものをがんがん編みたい。そんな気分になる。
 
タスマニアンメリノもよい毛糸だ。このアトリエもなんとか残つてほしいなあ。
 
そして、Multidirectional Diagonal Scarf を編んでゐるといふことは、本調子ではないのである。
むむむ。