門戸開放?

 
あるいは、規制緩和、だらうか。
 
去る冬、「たのしいアフガン編みの模様100(asin:452904484X)」といふ本が出版された。
この本に掲載されてゐる模様編みのうち、最後の十点あまりは「裏も表も使へる」模様であると紹介されてゐる。
これつて、「リヴァーシブル・アフガン」?
 
また、今月「連続編みモチーフの模様集(asin:4529045889)」といふ本が出版される。
それつてもしかして、「カスパリー編み」?
 
あみものの世界といふのは案外閉鎖的なところがあつて、「リバーシブル・アフガン」にしても「カスパリー編み」にしても、部外者は編み方を知るよしもない。
「特許」であるとかで、certain peopleに習ひに行かなければ、どんなものかわからないのである。
 
「カスパリー編み」は、習ひに行つてみやうかと思つて教室を調べたことがある。
モチーフ編みの難点といへばやはりモチーフひとつひとつに端糸の始末をしなければならないところだらう。縫ひ針の扱ひが苦手な身としてはさう感じられてならない。
だが、別段モチーフ編みが嫌いなわけではない。むしろ好きかも。モチーフなりモジュールを編みつらねてゆくといふ手法が好きだし、可能性もいろいろあるやうに感じる。
問題は、処理しなければならない端糸が多いといふこと。
 
ところが、モチーフ編みのやうなのに連続して編む手法があるといふ。
それつて……おもしろさうだよねえ。
 
だが、なかなか通へさうな距離・時間帯の教室がなくて、そのままになつてゐた。
 
ここのところ、編物本の出版点数が以前に比べて多くなつてゐるやうに感じる。
これがいづれも似たやうなものばかりで、多少食傷気味になつたりはするのだが、しかし、少ないよりは多い方がいいし、それに、中には「初心者向け」「ほのぼの」「かはいい」本とはチト違ふ向きを求める人間用の本も少ないながらも混ざつてゐたりする。
 
さう、おそらく、世の中には現在本屋の店頭にならぶ編物本に満足できないあみもの好きがかなりの数存在するのにちがひない。
そして、あるんだかないんだかよくわからないけれど、いはゆる「あみものブーム」の中で、さういふ従来(といつても精々ここ三年とか五年とかくらゐのことだけど)の書籍やそこで紹介されてゐる技法には満足できない向きがでてきてゐるのにちがひない。
 
「たのしいアフガン編みの模様100」や「連続編みモチーフの模様集」は、さうした現状に満足しないあみもの好き向けの本なんぢやないか。特に「連続編みモチーフの模様集」はさういふ本だといいなあと期待してゐる。
 
そして、新たなる展開をもとめて、これまで一般には門戸を閉ざしてゐたさまざまな編物の技法が、「あみものブーム」といふ黒船の襲来を受けて、少しずつ規制緩和をしつつあるのかもしれない。
 
さうだといいなあ。
 
下の写真は、去る冬の終はりに編んで気に入つたアフガン編みの帽子。
気に入つたのは毛糸の方かもしれないがな。ROWANのフェルテッド・ツイードはSH143のCocoaといふ色だ。廃番色である。暑さに負けてアイロンはあててゐない。そのうちきちんとスチームをあてるつもり。
アフガン編みつて編地がおもしろいんだよね。ちよつと織り地みたやうで。
そんな話を先日ROWAN恵比寿でしたら、昔は「畳み編み」と呼んでゐた、といふ話を耳にした。
なるほど、確かに畳のやうな編地である。
 
Tunisian Crochet Hat