Faster, Higher, Stronger
とはいふけれど。
先日のエントリで書いた近所の手藝店の店主が云つてゐた。
「今年は細い糸が流行なのよ」と。
昨今は太い糸、それもなんだか「ここまで太くなくても……」といふやうな毛糸が多かつたやうな気がするが。
なるほど、この秋冬の毛糸には細い糸が多いのかもしれない。
たとへば、リッチモアバカラエポックファイン。
もともとバカラエポック、バカラピュールといふ並太程度の毛糸があつたが、これの細い版である。30gで140mていど。
さう、細い糸が多い理由はここにありさうだ。
一玉30gだとか25gに対して割高感を感じさせないやうにしやうといふ、売り手側の思惑が。
もとい。
バカラエポックファインを見て、ふと思つた。
これでくつ下を編んでみたらどうだらう、と。
30gで140mだから、二玉で一足編めさうだ。
モヘアとナイロン混である(ウールとアルパカも)。
ツイード調か段染め調なので、編んでても飽きないんぢやないか。
そんなわけで、編み始めたのがこれである。
ものすごく久しぶりに一足を一度に編んでゐる。
……といふのはさきほどまでの話で、実は今夜編み上がつた。
毛糸は上記のとほり、リッチモアのバカラエポックファイン Col7。
針は2.5mm。
Magic Cast-onで、12目。60目まで増やして、甲の部分はメリヤス編みのまま。
踵は二回ラップする引き返し編み。
後はStraight-laced socksの編み方とほり……と云ひたいところだが、これは本来履き口から編むくつ下なので、逆さまに編んだ、といつたところか。
以前一度は編み方とほりに二本の輪針で編んだことがあるが、やつがれにはMagic Loopの方が楽。これは個人の好みの問題だと思ふ。二本の輪針で編んでゐると、編んでゐない方の針が邪魔なんだよね、やつがれの場合。
それと、以前編んだ時は52目で編んだのだが、60目の編み方はあまり好みではない。脇に8目の裏メリヤス編みがつづくのはなんだかちよつと間抜け。ここは書いてあるとほりに裏メリヤス編み4目にするより、表2目裏2目にした方がよささう。今度編むことがあつたらさうしやう。
月曜日に編み始めたのだが、火曜日にはほぼできあがつてゐた。
SKP2008ことSock Knitters Pentathlon 2008のおかげである。
「ヲレ、どうせそんなに早く編めないしー」とか思ひ込んでゐたのが、自分で思つてゐたほど遅くなかつた、といふわけだ。
ところで速編み、といふと、KnitPicksが公開してゐる、こんなヴィデオがある。きつとみなさんご存知だらう。世界一速く編む人・1分間に118目編むといふことでギネスブックにも載つたらしい。
見てみるとわかるが、とにかく速い。以前NHKでシェットランド島だかの速編みの人の編む姿を放映してゐたことがあつた。どつちが速いかなあ。
いづれにしても、どちらも陸上短距離100m走にしたら9秒台で走る人みたやうなものなんだらう。
そんなことないのかな。
上記ヴィデオでは速く編むこつのやうなものを紹介してゐる。手の動きを最小限に抑へること、といふのがそれだ。
なるほど、と思ひ、実践してみるが……むづかしい。長年のくせといふものはなかなか抜けない。
だが、長いこと編んでゐると自分なりに速く編むこつといふのがあつたりはする。
それは、速く編みすぎないことだ。
速く編むと、針が空振りする確率が高くなる。
かといつて遅くしすぎても同じ。
速くもなく遅くもなく、針が空振りせずに調子よく編みつづけられる速度がある。
その速さで編むのが、結局一番効率よく編める。
問題は、その速さが時と場合によつてまちまちである、といふことか。
ま、凡人はそんなもんかな。
くつ下を編んでゐると「もうこの先、くつ下しか編まなくてもいいやー」といふ気分になつてくる。
そんなわけで、次に編み始めたのがこれ。
みほこさんの「ゴジラ靴下」、である。
青ゴジラ・赤ゴジラ・緑ゴジラと編んで、次は黄ゴジラかなと思つてゐたが、さういへば黒つぽい色で編んだこともなかつた。
ここのところずつとMagic Loopで編んでゐたが、久しぶりに5本針。
4本針とか5本針で編むのが好きなのだが、編み始めがもたつくし、ちよつと外では編みづらい。そんなわけでここのところちよつとご無沙汰してゐた。
編んでみると、やつぱりいいなあ。
匠の短い針なので、取り扱ひも楽。どこかにひつかかつたりとかしないし。
これもバカラエポックファイン。
先にくつ下を編んでみて、ほんたうはこれで手袋とか編んだらよささうだなあ、とか思つてゐたのだが、気がついたら「ゴジラ靴下」を編みはじめてしまつた。
バカラエポックやバカラピュールほどではないが、やはりちくちくするので、気になる人はマフラにはしない方がいいと思ふ。
