夏の間に編んだもの

 
正直、バテてゐる。
情けないとは思ひつつも、この夏の暑さは尋常ではなかつた。
彼岸の入りを明日に控へた今日だつて、「彼岸? 何それ、おいしいの?」と「ひょっこりひょうたん島」の登場人物のやうなことを口走りたくなるくらゐの暑さだ。
 
まあでも、ちよこちよこ編んではゐたわけだ。
 
たとへば、Knittyで見たSpring Forward
 
Spring Forward
 
5/31に編みはじめて、9/7に編み終へた。
ずいぶんとかかつてゐるが、職場で昼休みに編んでただけなので、まあこんなものかと思ふ。あひだに Tour de Fleece とかあつて、こればかり編んでゐたわけでもないしね。
作り目から糸端の始末まで、すべて職場で実施。
 
毛糸の色がなんだかすごいが、我ながら何を考へてこの毛糸を買つたのかわからない。
買つた時にはなにか考へがあつたんだらうが、すつかり忘れてゐる。
家に毛糸は売るほどあるが、大抵の毛糸に関しては「これは何を編むために買つたもの」と覚えてゐる。
そのつもりだつたが……。
ま、こんなこともあるやね。
なんとなく、誰かへの贈り物を編むために買つたんではなからうかといふ気もしないではないが。
といふのも、この色合ひがどこからどう見ても自分向きではないからだ。
でもなあ。知り合ひにも、かういふ色合ひのイメージの人はゐないしなあ。
 
済んだことは、いいか。
 
上では「尋常ではなく暑かつた」と書いたが。
職場の自席のまはりは、尋常でなく寒かつた。
冷房の効きが半端ではないのである。
貸しビルの一角にあつて、冷暖房は集中管理のためか、なかなか温度が自由にならない。
冬は暑いんだよなあ……
 
愚痴をこぼしてばかりゐても仕方がないので、手持ちの糸の中からひとつ選んでPI Shawl を編むことにした。
 
PI Shawl
 
糸は、三年前に東京スピニングパーティーで求めた恵糸やさんのカシミヤシルクである。多分藍染め。編んでる最中指が青くなつたので多分。
50g 一かせで、えー……まあ、半分に折つた時に肩にかかるくらゐの大きさにはなつた。
ほんたうは肘まで覆へるとあたたかくていいんだがね。
しかし、編んでる最中に席替へがあつたりして、以前ほど寒くはなくなつたので、ま、いいかな、と。
 
とはいへ、これが結構あたたかい。
半分に折ることで層ができてそのあひだに熱がたまるのかもしれないけど、うすくてかるいのにあたたかい。
いい奴なんだ〜と、「ニルスの不思議な旅」のエンディングを歌ひたくなるくらゐである。
 
この種類のPI Shawlは六段に一度二目一度とかけ目をくりかへすことになつてゐるが、これを倍の十二段に一度にしてみた。変へたところはそれくらゐかなあ。
 
この糸と一緒にやはりカシミヤシルクで阿波の藍染めの糸を買つた。これはメビウス編みのCowlにするつもりですでに編み初めてゐるのだが……
下で書いたやうに、「流行りもの」と思はれてしまふだらうか。
 
いや、まあ、きつと、Ice Queen のやうな感じになるはずだから、それはないか。